バスは満席で、しかもぼくは最後列の4列シートに座っていたので自由度が低いなぁと思っていたのですが、このバスの中でおもしろい出会いがありました。
ぼくの隣に座った方、その方が俳人・西田四万十さんでした。
人生と俳句
西田さんは高知県の生まれで、20代半ばころまで過ごされたそうです。
四万十川近くで育ったので、小さい頃から四万十川ではよく遊んでいたと仰っていました。
その後、色んな地で、色んな職を転々としながら、多くの経験を積まれています。
あるときは金沢にいたり、あるときは船に乗っていたり、そして現在お住まいの東京では介護の仕事に携わっておられます。
よくよくお聞きしたら、ぼくの実家と四万十さんのお住まいが近いことがわかりまして。
話が大いに盛り上がりました。
そんな西田さんが長く研究されているのが俳句です。
元々は趣味で始められたもののようですが、それが身を助けてくれることもあったそうで、西田さんの人生を語る上で外せない重要な要素になっています。
「営業マン俳句」という独特の俳句を読んでおられて、多くの作品を残されています。
例えば、こんな感じです。
売れ売れ売れ 売るぞ売るぞ 豆を打つ
営業職の方なら誰もが経験していることだと思いますが、毎日のように「売れ」「売ってこい」と言われていますよね。
そんな風に言われながら、自分自身も「売るぞ」と覚悟するわけですが、それでもいきなりたくさん売れるわけがないので、売るためには地道に一歩一歩努力を積み重ねていくしかありません。
そんな気持ちを表現した句だと、ぼくは思っています。
西田さんご自身が営業マンとして活躍された経験を元に作った句だそうなので、ご自身の苦労がにじみ出ている、そんな一句ですね。
出会いは一瞬。それをつかめるかどうかは自分次第
それが偶然だろうが、必然だろうが、出会いはほんの一瞬の出来事です。
その貴重な機会をしっかりつかむのか、それともなんとなく流してしまうのか、またはそもそも取り扱わないのかは全部自分次第です。
ちょっと話してみただけで深くつながれる人もいれば、そうでない方もいらっしゃいます。
もしかしたら、そのときの出会いがなにか大きく変わるきっかけになるかもしれません。
その機会を活かすかどうかも、やっぱり自分次第ですね。
今回、高知へ向かう深夜高速バスに乗る前は「隣に人がいたらイヤだなぁ」「ゆっくり出来るか心配だなぁ」「疲れちゃわないかなぁ」などなど、未経験であるがゆえに心配事が尽きませんでした。
でも、乗ってみて、たまたま隣に西田さんが座られて、なんとなくお話をしてみたら大変おもしろい方だとわかり、消灯時間以外はほとんど話していたように思います。
ゆっくりお話できる方がいたおかげで、ぼく自身の一気に緊張がほぐれましたし、安心することができました。
今は何かの病気から回復されたばかりとのことだったので、これから徐々に全快に向けて生活されていくところ、と仰っていました。
どうか、いつまでもお元気でいてほしいです。
お住いも近いようですので、ご縁があったらぜひ地元でお酒を飲み交わしてみたいです。