よく使われるビジネス用語の1つに「お客様目線」というのがあります。
お客様の目線に立って、お客様が必要とするものを考えて提案・紹介する、という意味だと思われます。
頻繁に使われるのでよく感じるのですが、この言葉の捉え方を間違うと大変なことになります。
では、あなたが言うその「お客様目線」はどこのお客様の目線ですか?
ユーザーとカスタマーは全然違う
そもそも正しい使い分けがされていないのは、誰もちゃんと教えないし、教えられる人がいないからです。
こんなことを言っているぼくも誰かに教えられたわけではありませんが、それでは困ると考えて自分で勉強しました。
2つの言葉の直訳だけでもはっきりしていますが、指しているものが全く違います。意味をはっきり理解しておかないと、ターゲットにするところが変わってしまいます。
まず、ユーザー。
そのまま直訳すると「使用者」とか「利用者」ですね。
自社製品を使って頂く方や、サービスを使う方を指します。
もう一つ、カスタマー。
こっちは直訳すると「消費者」です。
主に一般の個人を指しています。
おもいっきりざっくりいきますが、ぼくの仕事だと、自社製品を使って頂くのはユーザーですが、それによって実際にメリットを享受するのはカスタマーです。
ユーザーに使って頂くことで、カスタマーにより良いサービスを提供して頂いています。
つまり、カスタマーの目線でユーザーにより良い製品を選んで頂き、使って頂くことになります。
だから、お客様=ユーザーに提案するときは、カスタマーにとってどのようなメリットがあるのか、またはデメリットがどうなのかを考えて伝える必要があります。
また、場合によってはユーザー=カスタマーになることもあります。
ただし、どちらも自社製品を採用して頂くのはユーザーなので、どんなにカスタマーにメリットがあったとしても、ユーザーが納得しない限り選ばれません。
それが価格の問題なのか、商品の問題なのか、設定したビジョンの問題なのか、しっかり分析する必要があります。
ターゲットをしっかり定める
一番最初の話ですが、ではターゲットがどこにあるのか、という話。
「お客様目線」とはよく言ったもので、どこをターゲットにしているのか明確になっていない、曖昧な言葉です。または、実はターゲット設定されているかもしれませんが、そのビジョンが周知されていない可能性も考えられます。
自分たちの仕事がユーザーを対象にしているのか、それともカスタマーを対象にしているのかで、目線が全く違います。当然、提案や紹介するものが全く変わってきます。
つまり、「お客様」という言葉が聞こえてきたら、それが何を指すのか確認する必要があります。もし一言で全てを表現しているのだとしたら「どちらのお客様とも取り組みたい」ということだと思いますが、担当するお客様がどちらなのかをしっかり把握して仕事を進めないと、見当違いな提案をしてしまうことになります。
よくやってしまいがちなのは、ユーザーに買ってもらおうとしてカスタマーが二の次になってしまう提案です。またはその逆もしかりです。
誰のためにそれを紹介しているのか見失ってしまうと、進むものも進みませんよね。
ぜひ使い分けましょう!
「お客様」も「ユーザー」も「カスタマー」も、どれもよく使われますが、それだけに「どっちの話だろう?」と思うことが多い言葉です。
もっと言うと、他にも似た言葉がたくさんあって、何を指しているのかわからないことがあります。「クライアント」とか「コンシューマー」とか、「エンドユーザー」なんていうのもありますね。
もちろんすべてがそうとは言いませんが、どれも本当のところの意味が何を指しているのか、明確になっていないことが多いと感じます。
なんとなく横文字を使うとそれっぽく聞こえるかもしれませんが、意味が違ってしまっては元も子もありません。
言葉に溺れず、ぜひ正しく使いたいですね。